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[コメント] 接吻 Seppun(2006/日)

カッティングの映画。勿論、カッティングの映画と云っても何をどう撮ったのか、繋ぎ合せる画面と不可分な上での物云いなのだが、しかし、例えば小池栄子仲村トオル篠田三郎の会話シーンの切り返しの素晴らしさ。
ゑぎ

 或いはアクション繋ぎもバストショットからロングショットへと繋ぐダイナミックさは、滑らかな時間的継続を実装するためのアクション繋ぎではなく、明らかにカッティングで観客を瞠目させることを意識していると思える。私は『宗方姉妹』等の小津のアクション繋ぎを想い起した。というように、作り手も画面の充実と共にカッティング自体を相当意識していると思えるのだ。しかも、それは例えば、ラシュモア山で引っ張り上げられたエバ・マリー・セイントが列車の寝台に引き上げられるような、マッチカットのような(成瀬的と云ってもいい)プリプロダクションで作りこまれた繋ぎではない、撮影現場での厳格なコントロールが作り上げた繋ぎなのだ。演出の緊密さは一瞬も弛緩しない画面を生み、エンディングの唐突かつ強烈な運動で頂点をむかえる。これは恐るべき傑作だ。

(評価:★5)

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