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[コメント] MONGOL モンゴル(2007/独=露=カザフスタン=モンゴル)

戦闘の美技はあくまでリアリティを尊び、その趣深くも渋めなヴィジョンは見るものをして飽きさせない。しかし、あくまでユニークな視点を保とうというのなら、「ボルテ(女)から見たテムジン」にカメラを位置させてもよかったのではなかろうか。
水那岐

テムジンのセリフは少ない。浅野忠信主演であるゆえにやむを得ないのだが、そうであればむしろテムジンを脇役に据える、という掟破りがあってもいいように思える。浅野は極めて典型的にオリエンタルな容貌であり、口を開かなくても充分に映える。その無言芝居を妻や周囲の人物が味付けする、でも魅力は決して減じないだろう。

ただ、題名の呪縛が深くこの物語を支配しているな、とは痛感した。キャラクターは二言目には「モンゴル人は…」と言い出し、モンゴル人のネガティブな側面を強調する脚本が鼻につく。チンギスハンはコスモポリタンであったから世界支配を可能とした、とでも言い出しかねない脚本だ。正直それは買い被りであり、誤解でもある(可能性はあるにせよ)。そのあたりはやはりロシア人のシナリオであり、演出であった。

(評価:★4)

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