[コメント] 忠次旅日記(1927/日)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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併映された、更に断片な伊藤作品2作の方が明らかに優れていたので忘備録。
『長恨』は最後の1巻しか残っていない。百人以上にひとりで立ち向かう大河内伝次郎、この撮影の凄いこと。俯瞰で大勢の敵が押し寄せる様はまるで幾つも発生する渦潮のよう、相当な引きの構図で画面の隅々まで構成されている。『仁義なき』シリーズから先んじること40年、すでに手持ちキャメラまで活用されている。やや早回しになるフィルム速度はこの当時おなじみだが素晴らしく、お縄のショットは『蜘蛛巣城』並みに完璧に決まっている。これまで観たなかでも屈指の殺陣だった。カットバックで大河内の元に駆けつけようと走る弟と恋人の移動撮影がまた完璧なアングルで力感溢れている。余りの凄さに口あんぐり。
『斬人斬馬剣』も断片だが、幸い話が判る程度に残されている。藩に立ち向かう義賊もので傾向映画とされるらしい。藩が雇った殺し屋を逆にやっつけて月形龍之介が質問、「飯は何からできる?」「米」「じゃあその米は誰がつくっている?」のユーモラスな反復。月形のニヒルは現代的で、撮影も素晴らしい。伊藤は当局に睨まれた監督らしく、その意味で呪われている。完全版がないのが悔しい。
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