二人の人間が会話を交わすシーンで、ただ突っ立って動きのないシチュエーションが続いたりする。こういう、漫画のコマをそのまま写し取ったようなシーンを再現するセンスって、なんて退屈なんだろうと感じてしまう。この１作目は特に、この手の≪漫画表現をそのまま移植したような退屈さ≫を感じることが多かった。

　それと、物語の根本的な部分。「よげんのしょ」という、子供たちが未来を空想した≪書物≫が、なぜこんな野心的で破壊的なものなのかもよくわからないが、それと同時にこの殴り書き的な駄文が子供たちの間でどうしてインパクトのあるものとされていたのかもわからない。しかも書いた当人（唐沢）は書いたことすらすっかり忘れている風だったり。率直に言って、世界を征服するって、それだけでとても大変な事業だと思うのだけれど、わざわざ「よげんのしょ」どおりに実現していくという、無駄な骨を折る目的が不明だ。子供時代の小さな仲間内集団でしか意味を持たない話だし。それほどまでにこの時期の小集団が人生に強烈なインパクトを与えるものだと思えないし、そのように描かれているとも見えない。それに世界を征服するまでに至れるのなら、子供時代の集団内で共有していた夢想みたいなものなど、どうでもよくなるのではないか。まあ、最終作まで観ていないのでわからないだけで、実はこのあたりの謎がエッセンスだったりするのかもしれない。その≪謎≫が興味の対象とならないため、物語を見続けようという誘因として機能しないわけだが。

　とにかく、この１作目だけを単独で観たのなら、２作目以降を観ようとは思わなかったと思う。

65/100（09/09/06記）