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[コメント] パコと魔法の絵本(2008/日)

大人のための飛び出す絵本。080925
しど

書店で絵本を開くと、子供の頃に見ていたよりも、物語の裏に隠された作者の思いが伝わってきて驚いたりする。考えたら、絵本を作ってる人も、僕と同じ大人なんだよね。この作品は、そんな子供向けの絵本を作る大人の思いを、最高級の映像で描いた物語なんだと思う。

過去の作品を含め、この監督の物語は、かなり「ベタ」だ。笑うところかと思えばそんな描写になるし、お涙頂戴路線かな、と思えば、そんな展開になっていく。でも、そのベタが、「ベタベタ」にも、安っぽくもならないのが、この監督の魅力だろう。

不幸で無垢な象徴としての少女・パコ。同じ病院に生活する患者や職員はそれぞれにトラウマを抱えているが、パコを前にすれば、そうした自分が小さく見える。絶対的なマイナスとしてのパコを基準に自分を見れば、自分にできることなんて、いくらでもあると思えてしまう。そんな気持ちが、物語を展開させていく。

トラウマを抱えた大人が見れば、登場人物の誰かに自分を重ねることができるだろう。一度重なってしまえば、後は、物語に身をゆだねるのみだ。馬鹿馬鹿しい芝居と、子供じみたCGアニメを、純粋に楽しめばいい。

役者の演技や物語の設定など、様々なデフォルメに慣れるまでは、やや退屈な感じがしなくもない。また、『下妻物語』ではあんなに良かった土屋アンナが、期待を裏切るように、下手な演技だったりするのもマイナス要因ではある。他にも、趣味の合わない部分は数々あるけれども、やっぱり、監督の力量、きっちり楽しませて貰っていくうちに、そういう「粗」はどうでも良くなって来る。

文句が無い訳じゃないけど、思った以上の出来に、☆5つ。

(評価:★4)

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