[コメント] おくりびと(2008/日)
納棺の様式美の勝利。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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すっごく普通の物語だと思うんですよ、これ。青年(というには年増だが)が挫折し、故郷に帰る。ひょんなことからあまりメジャーでない、人に嫌われがちな仕事に就く。仕事に誇りを感じ始める。徐々に周囲の理解も得るようになる。最後、一度は自身の人生から抹殺した父親の真実の死と向かい合う。そして要所要所に別れのシーンを盛り込み、涙腺を刺激する。芥川賞を受賞するというよりは、中学生の読書感想文推奨作品に採用されそうな分かりやすい物語だと思う。
本作を名作たらしめている要素は、役者の実力もさることながら、やはり納棺の様式美だろう。遺族へ向けるモックンの言葉、死者を包む所作、珍しさも手伝ってだが引き込まれるような美しさがあった。
こういう分かりやすいながらも質の良い作品って、最近の日本映画では少ないと感じる。最近の真面目に作った日本映画を見ていると、どうも内向的というか、監督の独り言を聞かされているような気がして疲れるのが正直なところだ。そういう凝った作品も良い。しかし至って普通の人生を送ってきた私としては、よく分からない本場のスパイスで作ったカレーよりも、少し高めのすきやき肉を使ったバーモントカレーを出された方が喜んでしまうものなのです。
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