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[コメント] 水没の前に(2004/中国)

演技ではないのか? よく撮れたなと思うほど登場人物は、怒りをぶつけ、本音を言っている。要するに ‘世の中 結局は金だねぇ’なのだが、殆んどの人は湯水のように使える金を持っていないので、色々な物語が生まれるのだ。
KEI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







重慶市奉節市の沈む市街地区にあるキリスト教会と向(シアン)さんの簡易旅館に焦点を当てて、そこの人々や関わる人々の2002年1月〜11月を撮った。

こういう事態になれば、考える事は誰もが同じだ。 住む家は? 仕事は? 補償は?

政府は新建設区に移住用住宅を建てるが、すべての人が入れるわけではない [4人家族で30m2(?)等の基準が幾つかある]。その抽選会の模様が、興味深い。抽選に来ない人もいて、役所のやっていることが、上滑りだという事がよく分かる。 では、来ない人はどうしているのか?向さんのように新たに旅館を建てるべく、土地探しに奔走する人(もっとも奥さんは冷ややかだ)もいるが、どうにも出来ずに立ち退けない人もいる。例えば、家族が多すぎて基準から外れる、又昔公共の廃材から建てていれば、自分の家と認められない等いろいろ有る。

役所仕事の前面に立ち、人民の声を聞くのは地区委員会で、主に(中年以降の)女性が中心になって勤めている。映画では、そんな王さんを追う。その王さんと向さんの応酬が秀逸だ。

教会の季牧師は教会建屋の何十本とある柱が良質の杉で出来ていることを知り、解体業者(解体費自体は国から2千元出る)から、3千元を取ろうと画策するが、5百元に値切られる。この経緯も笑い話だが、これこそ現実と苦笑する。

他にエピソードは沢山あるが、1つ。立ち退けなくて、水道も電気も止まって、夜にろうそくで過ごす家族がいた(その幼い孫娘が昼間、紙幣を見つけて喜んでいた)。あの家族はその後どうなったのだろう?

143分、映画の世界にどっぷりつかっていたので、終了後は、現実の世界に戻って来たという感じが強くして、ホッとした。

しかし、あの家族はどうしたのだろう?と、再度ながら気になる。(私が気にしても仕方がないのだけれどね)。

(評価:★5)

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