[コメント] マルタのやさしい刺繍(2006/スイス)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
予告やポスターの可愛さと、主人公の変わった成功譚に興味を持って、鑑賞することにしました。そういう面での期待は全く裏切らないので、同じような興味の持ち方をした人には文句なしにオススメします。
主人公の特技は裁縫で、昔の夢を思い出して店を作り、いろいろあったけど大成功する。こういうストーリーに接したとき、素直に感動もしますが、ひねくれた私は「みんながみんなそんな人ばかりじゃないよ」とも思ってしまう。 でも、「別に、夢やすごい特技があるわけじゃないよ」っていうばあちゃんたちがちゃんと描かれているのがこの映画のいいところ。
例えば、息子に「忙しくて父の病院送り迎えが出来ない。入院しろ」って言われて、必要に駆られて車の免許を取るおばあちゃん。必要に駆られてやることでも、新しい挑戦には変わりない。それが魅力的に描かれている。 また、老人ホームで退屈に過ごしていたおばあちゃんは主人公に協力するために、今まで興味がなかったインターネット同好会に行ってみようと思う。
あとは静かに老いていくだけと思っていたおばあちゃんたちが、客観的に見たら小さいことでも、本人たちにとっては新鮮なことに挑戦していく。 そんな各エピソードが、主人公の成功譚を主軸として描かれるから、中盤まではストーリーがしっかりまとまっています。
最後のみんなが主人公の味方になって、悪者を成敗! みたいになってしまったところが、残念。それまでは丁寧に描かれてきたのに、大味すぎてバランスが悪い。
登場人物が老人ばかり、というと地味なのかな? という印象を受けるかもしれませんが、おばあちゃんたちのショッピングの描写は若い女の子たちと同じくらい瑞々しくて微笑ましいです。 インターネット同好会におばあちゃんが入ったとき「初めての女性部員だ」みたいなやりとりがちょこっとあるんですが、これもまた、中学校・高校のパソコン部みたいな反応で微笑ましい。
全体を見たときは首をかしげるところがあるので★3ですが、それをカバーする魅力は十分にある映画です。
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