[コメント] K-20 怪人二十面相・伝(2008/日)
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ツングースカ大爆発とテスラ装置と世界征服とを絡めるという壮大なストーリー設定。 CGとセット、中国ロケによるレトロ調で独特な世界観。 二十面相のコスチュームデザイン。音楽。パルクールアクション。 どれをとっても最高の出来。 故・江戸川乱歩先生が見たとしら、自身のストーリーのアレンジと進化に納得されるのではなかろうか。
二十面相の正体に関してであるが、本当にこの落ちがあてはまるのかどうか? もう一度、少年探偵団シリーズの全てを読み返してみたくなった。 乱歩先生は推理小説作法の中で、落ちの種類を列挙している。 従って、この落ちも実は意識していたのではあるまいか? にも関わらず、あえて二十面相の正体を明かさすに没した乱歩先生の意図を洞察するならば、それは読者を楽しませるために、世に永遠不滅のミステリーを残したと考えられはしないだろうか? 本映画の原作「怪人二十面相・伝」の作者である北村想の二十面相からの視点と想像力も素晴らしいが、その点をさらに掘り下げて推理、具現化した本作品は見事である。
二十面相の正体(比較・まとめ)
江戸川乱歩・・・遠藤平吉
北村想・・・・・遠藤平吉 & 丈吉
K−20・・・・遠藤平吉 & ○○
原作、改作、映画の3つともを知っているとより楽しめる映画だと思う。 知らないと「バットマンのパクリ」にしか見えないのだと思うが、 自分の場合はまったく逆で、日本にも、日本人が作ったアメリカンコミックヒーローに劣らないダークヒーローがいたということを具体的に示してくれた本作に、とてつもない衝撃を受け、感動した。嬉しかった。 アメコミヒーローはただ単に正体を隠すものが主だが、二十面相は違う。何にでも化けてしまう。そんなヒーローはアメコミにはいないはず。それだけ二十面相は大きな可能性を秘めたキャラクターなのだ。続編が非常に待ち遠しい。
「二十面相は本物のバットマンすら超えてるさ・・。」
欲をいうと配役とキャラクター設定に少々疑問を感じた点がある。 明智役は仲村トオルが相応しかっただろうか?(といっても相応しい俳優が見当たらないが・・) 小林少年はもっと優しい人柄なはずなのに…。 細かい点をもっと原作に忠実に再現したならば更にリアリティが増したはずである。
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