[コメント] D-WARS ディー・ウォーズ(2007/韓国)
夢の中で遭った、ような
幼い頃、巨大な怪獣が「自分を」追いかけてくる夢を何度見たことだろう。怪獣はゴジラのような爬虫類だったり、青銅の巨像タロスであったり、体毛に覆われたキング・コングであったり、褌一丁の巨大ユル・ブリンナーだったりした。特にユル・ブリンナーはマジで怖かった。周囲のパニックとは別に、怪獣が自分を追っていることは自分にとっては明らかで、しかしそれを誰かに明かせる訳もなく、逃げ惑う群衆の中で同様に逃げ惑いながら強烈な孤独を感じているうちにだいたい目が覚めた。そしてこの類の悪夢を見た朝は決まって高熱を出し、幼稚園や小学校を休んだものだった。
数年前から期待していた『D-WARS』は、いざ観てみると死ぬほどどうでもいい物語だった。まごうことなきクソ映画だった。ただ一点、オレが夢でのみ感じていたスペクタクル、強烈な孤独、かすかに感じた甘い陶酔が、その気配が、このクソ映画から不意に感じとれてしまったのだ。どんなクソ映画であろうと、これ感じとれてしまったのだから仕方がない。まるで幼い頃に見た夢の中で撮ってきたような瞬間を、確かにこの映画にオレは見た。ゆえに、きわめて個人的な理由により『D-WARS』はオレにとって「大きな声では言えないがちょっと好きな映画」になった。バカにしたくばするがいい。
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