[コメント] ファニーゲーム U.S.A.(2007/米=仏=英=オーストリア=独=伊)
映画を見終った人むけのレビューです。
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オリジナル未見だが、この作品にはリアルな恐怖は感じなかった。ちょうど似た題材の『ある戦慄』を観たのだがそれは身につまされて怖かったし、自分ならどうしただろうかと考えたが、この作品は怖いというより冷たい印象で、リアルよりもこうした方が怖いだろう?という監督の演出をかなり感じた。どちらかというと寓話的というか。
どういうことかというと、若者2人の暴力は描かず家族の暴力は描いていたり、主犯の若者も金髪に白づくめ&手袋をしておりハンサムで言葉使いもやけに丁寧なので、ある種天使みたいな描き方をされているところだ。観客への語りやリモコン、ラストのヨットシーンの意味ありげな会話シーンにもそれを感じた。全体的に監督のあえて逆説的な意図が見えてのめり込めず、中盤はかなり退屈だった。
しかしその冷笑的なセンスも面白いところはあり、OPのクラシックが似合う車内の家族団らん中に突然パンクが大音量で流れる(しかも映像は変わらず)シーンは良かった。これは本人達の思惑とは別に恐怖・不幸は突然やって来るぞ、と言いたかったのか。
見なおしてみると最初の隣人のよそよそしい態度とか、こんなところに伏線があったのかと気付いて、なんだかんだで2回観てしまった。監督の意図がある程度理解できると面白かったりするので困る。
POVでやるともっとリアルになると思うけど、監督の意図とは違うんだろう。敵をやっつけて終わりというハッピーエンドに対するアンチテーゼかもしれないが、ハリウッドでもバッドエンドもちょこちょこあるので、それは感じなかった。
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