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[コメント] ヘルボーイ ゴールデン・アーミー(2008/米)

大多数(常人)を敢えて蚊帳の外に置き、マイノリティ間の「プライベートな戦争」の如く見せる(魅せる)割り切り方がシンプルで良い。『ダークナイト』を愛せなかったオレでも、これならば愛せる。"You're such a beautiful freak."
Lostie

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







整合性うんぬんを度外視したデル・トロの「ワシャこういう画(え)が撮りたいんじゃ!」魂の爆発。それが顕著なのがあの「赤ちゃん」の扱い方だろう。はっきり言って、さっさとエイブやヨハン・クラウスに預けりゃ良かったはず。それをわざわざ高所に連れていっちゃう。で、投げちゃう(個人的には『アンタッチャブル』と『ダイ・ハード2』を想起した。こういう「元ネタ推理」も楽しい)。極めて漫画的な表現で清々しい。その直後の超巨大花の咲き方(とライトの当て方)も素晴らしい。

この映画の何が良いって、「宿敵」がちゃんと「宿敵」足り得ていることだ。パワー&タフネス(と言いつつもスピードも相当なものなんだが)のヘルボーイ対スピード&テクニックのヌアダ王子という好カード。総合的な戦力が拮抗しているので最終決戦(ほとんど「魅せるため」にしか機能していない歯車があるのが潔いというか、可愛い)がダレない。ゴールデン・アーミーは既に「再起動」したというのに、敢えてタイマンで決着をつけるというやり方は安易ではあるものの力強い。それにしても、王子関連の戦闘シーンの異常なキレの良さは「CGか早送りか?」というレベルだ。バク宙しながら後退する王子と、それをノシノシと追走するヘルボーイを捉えた移動撮影なんかは観ていて単純に気持ちが良いし、双方の特徴を端的かつ対照的に示していて面白い。ワイヤーアクションも『グリーン・デスティニー』なんかよりよっぽど「重力の存在」が感じられ、そういった点も好印象。

全体的にヘルボーイばかりが活躍して、エイブやリズにアクション的な「見せ場」が少なかったのが残念と言えば残念だが、その分それぞれ「切ない恋心」パートや「妊娠ナーバス」パートを担当し、映画を地味にサポートしている。

ただ、好きなところばっかりってわけでもなくて、完全にダメなところもある。王子の槍をくらって倒れた後のヘルボーイの主観視点だ。あの倒れた方向から言って、王子たちの頭は左に来なければおかしい。まあ、でもギリ★5かな。

(評価:★5)

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