[コメント] ザ・ムーン(2007/米=英)
アポロ計画や歴史的事実に対する予備知識がない人には退屈だろうが、月面着陸の興奮を肌で感じ、月に行くのが夢というアポロ世代にはあっという間の100分であった。その意味ではこの映画もただの映画ファンには小さな1本だが、アポロ世代には大きな飛躍である1本の映画だといえよう。
中心となるのは、つい最近までNASAで眠っていた貴重な映像と宇宙飛行士へのインタビューであるが、映像の素晴らしさは言わずもがなとして、そのインタビューの構成も、管制塔の飛行士にまで及ぶ多角さとリアルな言葉の数々でまったく飽きさせない。
たとえばバズ・オルドリンやマイク・コリンズといった面々の言葉はその名前だけでも心ときめかずにはいられないのに、彼らが語る「月への旅」への言葉のひとつひとつには、ついこの間の旅行について話してくれる近所のおじさんのような親近感があふれ、それだけでも嬉しくて仕方がなかった。また彼らの言葉のひとつひとつに、今でもニール・アームストロング船長への畏敬の念があふれていることにも心底感激した。
さて、そのアームストロングについては当然のことながら中心的な人物としての扱いがなされているわけだが、その彼が出演していないことについて、もう彼は亡くなってしまったのかと勘違いされた方も多いと思うが、(2010年7月現在)そのあたりは本作の公式サイトのプロダクションノートにおけるデヴィッド・シントン監督の素晴らしい言葉の数々を参照されたい。
ただ、構成上どうしてもアポロ11号の話が長くなるのはわかるが、個人的にはもう少し他の船の話についても触れてほしかったという思いが残るのも事実である。それもまたアポロ世代であるがゆえの贅沢なのだろうが。
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