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[コメント] 戦場のレクイエム(2007/中国=香港)

中国映画の今までの常識を覆す、戦闘シーンの激しさ、生々しさには目を見張る。そして抗日映画などに観られる「勧善懲悪」的な幼稚な位置づけを廃し、戦争を自らの視点から私情を交えずに見せる、という方法論を携えて撮影に向かうスタッフの真摯さが見て取れる。しかし、それは比較論の存在を持ってしか語りえぬところに、未だ発展途上の中国戦争映画が見えてくる。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







たしかに戦闘シーンの激しさは特筆すべきものだが、それは中国映画のカテゴリー内のことだ。例えばハリウッドから見れば通り過ぎた一里塚でしかない。そして香港や外国のスタッフの活躍が窺われるスタッフ・ロールだけからも、中国はまだまだ、との感は充分に理解される。

そして主人公の意味づけだ。チャン・ハンユーが求めたのは無辜に散っていった四十余名の兵士の幸福ではない。「革命烈士」という「名誉ある」称号と彼らの眠るべき慰霊塔だ。まあ、全ての戦争映画が反戦的である理由は全くないのだけれど、これは単なる欺瞞のように思える。連隊長グーの努力が連隊全体の名誉挽回を生んだ。それだけのことなら、ごくありきたりの戦争美話だ。もっとも、聖戦ということばがFUCKより汚くない国の一つに、中国が含まれていることは周知の事実だ。

それゆえ、中華人民共和国映画に我らが求めるのは、個人単位の善意や美徳であることを再確認しての3点。

(評価:★3)

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