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[コメント] チェンジリング(2008/米)

1928年にして米国ロスではSFのような悪夢が顕現していた。☆3.8点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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市民が真実を訴えても権力側が無視し、脅迫し、拘束し、精神病院に放り込む。まるでSF小説のような、恐ろしい当時の「アメリカ民主主義」の現実。

じゃあ現代日本の民主主義は大丈夫かと訊かれれば、それも中々痛い。だからこそ、(映画はロス市警の腐敗とシングルマザーへの(戦前の)世間の風当たりの強さを背景にしているのだが)観客はこういった状況に「当時はまぁそうだろうな」などと理解を示してはいけないのだ。我々は飽くまで本来の民主主義からこの悲劇(非道)を厳しく見つめなければならないだろう。

     ◆     ◆     ◆

母親が子供を見て自分の子じゃないと見抜くのは当たり前過ぎるほど当たり前の事(子供が赤ちゃんならまだしも)。とは言え、コリンズ女史の場合正常な周囲(神父さんや歯医者さんや担任の先生)がいたから精神が保てただろうが、これで周りが全部よってたかって権力側とグルだったとしたら、かなりキビシくなる筈だ。

     ◆     ◆     ◆

しかし…、巨匠になってからのイーストウッドの映画は皆そうだが、映画は厳しい主題を突きつけるのに、追及は何故か極めて甘いように見える。

物語は警察の子供取違えという前代未聞の事件と、少年20人殺しというこれまた前代未聞の事件の2つを軸にしている。恐らく犯罪史としては後者の比重が重かったのだろうが、イーストウッドが母親の悲劇に気付き、この作品に繋がったのだろう。史実を基にした過酷な物語であり、アンジーの演技は真摯なのは伝わるがどうもこちらの琴線まで響いてこない。彼女は悲惨な出来事に見舞われたが、「彼女自身が何をしたか」が充分に伝わってこない。勿論「警察に屈せず裁判も辞さなかった」のだが、マルコヴィッチの登場が却って仇となり、彼の助けにすがっただけの様にも見えてしまう。そのマルコビッチに至っても見るからにコリンズ夫人への理解が不充分で、彼が如何に(どこまで)努力し事件に迫ったのかが全然伝わってこなかった。

(評価:★3)

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