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[コメント] 映画は映画だ(2008/韓国)

哀しげな瞳でヤクザは嘲う。リアリズムを棄てた世界で己を倒そうとするスターのひ弱さを。ボスから宗教を持てと冷笑されたヤクザは、仏像を凶行の道具と為す。虚飾を何処までも排し、刹那の連続にしか生きられないヤクザにとって、フィルムの中の勝利も、西方浄土の百万年の喜悦も、そして女優の甘美な愛撫も留まるべき地点とは看做されない生温い虚構なのだから。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ソ・ジソプの総てを諦めたかのような瞳は、最後に逮捕され、撲殺したボスの返り血に塗り込められた笑顔のなかで突然雄弁になる。それは自分にとっては、どこか松田龍平を思い起こさせられたカン・ジファンの薄っぺらな「強さ」を蔑視的に祝福しているように見えた。

しかし、やはり思うのだ。初期のギラギラと目を光らせていたキム・ギドク本人がこの作品を撮っていたなら、どんなに映画の無力さを思い知らされるパワーを持った激烈な映画、という二律背反的作品となっていただろうかと。

俳優はみな良かった。チャン・フンの演出力もまた、決して馬鹿に出来ない俳優の底力を抽出するセンスを有していたためだろう。今後が期待できる。

(評価:★4)

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