[コメント] シネマニア(2002/米=独)
ニューヨークで映画を観まくることに人生を捧げている映画マニア達を追ったドキュメンタリー。映画は人生に似て非なるもの。それでも映画はともかくもそこにある。どうして映画を観るかって? そこに映画があるからさ。映画に人生を吸い取られる悲哀と悦楽。その悲劇的かつ喜劇的難問。
とは言え、しかしながら、少しでも映画の好きな(自分のような)人間からすると、彼らの人生もそれなりに幸福な人生のようにも思えるのだった。そんな彼らが普段どんな生活(経済的生活)をしているのかなどには触れられていないことには、少し物足りなさを感じたけれども。
ところで一つ気付いたのは、彼らがどれだけ筋金入りの映画マニアであろうとも、彼らが観ることが一生出来ない映画は世界中に数限りなくあるのだということ。たとえば日本にいる自分が観ることが出来て彼らが観ることが出来ない映画はたくさんあるはず。これはつまり、映画史に唯一の全体像は存在しないということでもある。
細かいエピソードで記憶に残っているのは、映画マニアの男性が他の映画マニアの男性に向って「君が女性だったら結婚してる」とか話すところや、フランス旅行の思い出として「現実は映画みたいにいかない」とゴダール映画の記憶(カフェのカフェオレの渦巻きについて)を引き合いに出すところや、往年の名女優についての淫夢をモノクロで見るとか話すところ…。
「見る」という行為は、受動なのか能動なのか…。
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