[コメント] メギド(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
傑作。
以下、全面ネタバレですが、伏線がばれてもどうということないので、気にもとめません。
前半は基本的に「エクソシスト」と「オーメン」と似たつくりです。アレクサンダーっていう悪魔憑きの男がでてきます。
ところがこいつ、映画から目を離していると、いつのまにかヨーロッパを支配して世界連合の総統になっていました。弟は合衆国大統領で、この独裁に徹底抗戦します。オカルト物が政治物になっています。何事。
「合衆国は屈せん! 人民の人民による人民のための国家であり続ける!!」 と大統領は怒鳴っていますが、合衆国はボロ負けです。南北アメリカと中国以外、全てが総統の傘下に入ります。具体的に何をやったからこうなったのかは、説明が無いので全くわかりません。
ちなみにこの映画、日本は認識されてません。監督、日本は中国の一部かなんかだと思ってます。絶対。
さて、アレクサンダー総統はオカルトなんで、エルサレムを首都にします。嘆きの壁でユダヤ人が普通に泣いてます。
南北アメリカも征伐して、中国だけは残っているものの、勝ちムードで酒飲んでます。
ところがです!
「神よ! 私は全てを手に入れた! 貴様に屈服していた時代は終わった! 創造主はその子たちに敗れたのだ!」
と、調子に乗っているとき、凄まじい量の隕石が落下!!
神キタ――――(・∀・)――――― !
総統はこの攻撃に激怒します。 「私を敬わないからだ、天誅ー! 」 自国民を怪光線で虐殺します。敵を倒さなくていいのか。
さらに主人公、口からイナゴを飛ばして残った大国、中国を攻撃します。 しかしここで意外にも中華人民はくじけない。
「五億人がやられました」
「たった五億人か」
さすが中国です。
そしてエルサレムに各国の軍隊を集めて高笑いする総統に向かって中国軍が反撃します。五星紅旗がエルサレムに!!
一応この映画のヤマはここです。まあこのシーンだけで見る価値があります。というか、恐らくこのシーンを先に撮ってます、監督。
タクラマカンはどうやって越えたんだとか、そもそも戦車は100キロも走ると壊れるとかいろいろあるんですが、そこはもう突っ込むところじゃありません。 こうしてこの映画、今度は戦争モノになります。いいかげんにしろ。
ちなみにヨハネの黙示録には「ハルマゲドンの時、東方より来る使者が」という記述があるらしいです。どうでもいいですけど。
米国とメキシコもこの中国の攻撃に応じて離反します。こいつら現代戦という感覚が決定的に欠落していて、このミサイル戦全盛の時代に戦車の火砲で開戦します。米国もなぜか飛行機で戦います。大陸間弾道弾とか使う気なかったんでしょうか。情報戦はおろか、米国と中国との間にはなんのコミュニケーションもありません。
男は正規戦で勝負だ!
そういえばこの映画一応ヒロインもいるんですが、可愛くないので積極的に無視すべきです。まあそれは余談です。この映画自体余談みたいなものですが。
拉致された合衆国大統領が「これが人間の自由意志だ」とかなんとか言ってますが、どうみてもとってつけたようなセリフです。多分監督が途中でこの大統領のキャラに飽きてます。
ここでアレクサンダー総統、ついに正体をあらわします。
「はっはっは、私はルシファーだったのだよ!」
と、総統は身長三メートルの着ぐるみに変身します。
そのときです!
光の十字架が光臨!!! 「あれ?」 と振り向くルシファーの背後で
神キタ―――(・∀・)―――!!!!
ルシファー敗北!
ルシファー軍全滅!!
人類全滅!!!
神勝利!
終わり。
あ、合衆国大統領は多分死にます。どうでもいいですが。
いやね。
神が偉大でも荘厳でもなく「神が、強い」という文脈の映画は初めて見たよ。
まあもう説明にもなってませんが、これ以上説明なんか必要ありません。
古いビデオ屋ならまだ投げ売りコーナーに置いてあるかもしれません。今すぐ見つけて墓まで持ってけ。
よくこの脚本、企画通ったな。
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