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[コメント] レスラー(2008/米=仏)

真剣勝負に無くてプロレスに有るもの
Bunge

客との無言の会話、阿吽の呼吸。

レスラーが客を煽り、湧いた客の歓声が試合の熱気を作り、会場が温まることでレスラーの芝居が力強くなり、自信ある表情が客を煽る。

客とのコミュニケーションが多く存在するこの映画、プロレスへの造詣が深いように思える。そうでなければ紛う事なき天才の作。

隙間産業的なブレイクをしたと形容することも可能だろう。しかしそれだけでないことは一目瞭然だ。

プロ格闘技と言えばまず真っ先にボクシングが浮かぶだろう。偉大な歴史的背景があるし、様々なディフェンステクニックは他の格闘技にない美しさを持っている。しかしプロボクサーはプロレスラーよりも「プロ」かと問われればわたしは否定する。 プロボクシングはルールだけ見れば殆どアマチュアスポーツだ。それでも90年代までは興行として問題が生じることは無かった。近年になると技術の成熟につれ、フェンシングのようになってきており、衰退の道を歩んでいる。そしてプロレスラーが活躍している真剣勝負の格闘技団体UFCが絶大な人気を誇りだした。これから少しずつプロレスラーを見る目が(少なくともアメリカでは)変っていくだろうし、この作品がそれに多少の尽力をしてくれると信じている。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ガリガリ博士

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