[コメント] ラスト・ブラッド(2009/香港=仏=日=アルゼンチン)
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かつてプロダクションIG内に“押井塾”なる勉強会のようなものがあり、そこで一本の劇場用アニメーションが作られた。『BLOOD』という、短い作品で、国内では一部の物好きを除けばさほど話題にもならない作品だったが、海外での評価が大変高く、当時のいわゆるジャパニメーションブームの後押しとなった作品だった(押井守自身は企画協力と言った形だが、これをベースに「獣たちの夜」という半自伝的小説を書いていたりする)。同じくサヤを主人公としているが、設定とかが違うパラレルワールドを描いた『BLOOD+』というテレビ作品もあり。
悪く言おうと思ったら、それこそいくらでも言える。サヤ役のチョン・ジヒョンの無理な若作り(しかも、せえらあ服姿)や、まるで10年以上前のエンジンを使ってるんじゃないか?と思えるくらいのCGの稚拙さ。日本を舞台としているのに到底日本には思えない日常描写。80年代OVAレベルの設定。日本と言えば当然ニンジャの存在…実際、一歩引いて観る限り、この作品は本気でどうしようもない作品ではある。
しかしながら、悪いと思いつつも悪く言いたくない作品と言うのも確かにあるもの。 本作のオリジナルとなったアニメ『BLOOD』は描写こそ良いものの、短すぎるという致命的欠陥を持っていた。米軍基地にサヤが現れ、鬼を倒して去っていく。という、物語にさえなっていない実に短い作品だった。せっかく吸血種という設定を作ったんだから、それを活かした奥深い設定をもうちょっとでも出してくれれば。と常々思っていた(パラレルワールドのTVアニメ『BLOOD+』では色々動かしてはいたけど)。 その意味ではアニメ版では隠されていた設定部分がようやく見えた。という点に関しては評価すべき。少なくともアニメ版をないがしろにしているわけではなく、その膨らみをちゃんと受け止めようとしているし、どんなにいい加減なものでもきちんと設定付けをしようとしているのもわかる。
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