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[コメント] アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン(2009/仏)

イメージ先行でテーマが深い割に不完全燃焼ではある。どこまでオリジナリティがあるかも限界もある、しかし、この映像と音楽の醸し出す世界はコンテンポラリーのそれである。
SUM

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







監督もはっきりとテーマを言っているし、映画を見ればそれははっきりわかる。

2009年における、フランス文化に染まった監督の手による、英米スタッフも加わった、しかしながら東・東南アジアにおける、都市と田舎の共存したこの現代における、キリストの誕生。そこに対して、肉体を傷つける犯罪者と対峙して傷ついた男と人を癒す男の対比、そして悪の代表のような男との対峙。

その辺については、今後さんざん語られるだろうからまぁ私ごときが洞察するのもあまり意味もないだろう。

キリストの痛みを、人間の肉体の痛みを、心の痛みを、現代的映画として描き、まさにコンテンポラリーなアートとして見せる。この同時代的疾走感こそこの映画の醍醐味である。

ストーリーは荒っぽい。謎を残そうとする割に、深いテーマを扱おうとする割に、それが、わかりやすすぎるが故に、傷も見える。

フィリピンから香港へ行く必要はあったのか。伏線が伏線になっているのだかわからない、複雑に登場人物が入れ替わり、しばらく特定の人物の存在感が薄くなったと思ったらまた戻ってくるとか結局なんなのか。さんざん「対象への同一化」で捜査に挑む男、を描いていて、結局自力では神にはたどり着かない。

こういう映画を単に理解出来ないという人は、まぁちょっと可愛そうだが、表面的過ぎるだろっていう低評価をする人が出るのは予想ができるというか、むしろ共感できる。

と、これだけ批判を重ねておいても、満点からの減点法で惹かれる点数は100点満点で20点にも満たない。5点評価ならぎりぎり5点。それだけの勢いがある。

(評価:★5)

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