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[コメント] コレクター(1965/英=米)

モーリス・ジャールの音楽はサスペンスというよりアドベンチャー/スペクタクル向き。やっぱりハーマンを発見したヒッチは偉大だなぁ、なんて改めて思った次第。
町田

それに’65年という制作年はけして早くない。この程度の題材を扱った犯罪映画なら日本でだって幾らでも作られていた。

ただこれが普遍的名作であることに異論はない。

ワイラー監督の「間」を活かし「密室性」を強調した演出も素晴らしいし、スタンプの奇々怪々たる存在感にも勿論しびれた。世の中と向き合うことの出来ない青年の孤独が、凝視する目にも階段に坐り込んで抱えた膝にも滲んでいた。

原作は未読だが、恣意的な支配者と、常に現状以上の自由と解放を求め止まない被支配者の関係を、異常な状況下に置かれた一組の男女に集約した(勿論それでけではないが)この物語は、単なるサイコサスペンスとして片付けられるシロモノでは到底無い。

ロンドン郊外という舞台設定もそれに起因するのだろう。米映画なのに何故?と最初は思ったが途中まで観て納得した。絶対君主制の名残を留めた英国だからこそ、地方貴族の城館であったればこそ、この物語の説得力が増すのであり、これが直ぐに拳銃をぶっ放すアメリカの田舎街だったら、それこそ最近の、グロ描写にばかり重点を置いた凡百の、サイコサスペンスに埋もれ風化していたことだろう。

(評価:★4)

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