[コメント] コレクター(1965/英=米)
子供が大金を手にして、何でも思い通りになるようになったら、どうなる? 大きな子供が化け物に変わる瞬間。060109
『シーベールの日曜日』⇔『コレクター』⇔『羊たちの沈黙』、思わずこんなマトリックスを思いつく。
こーいう犯罪者誕生の細かい心理描写は、普通、キャラクターの背景の一つになっちゃうから、あまり細かく描いてはくれない。これこれこういうことがあったから、こいつはこんな悪党なんですよ、という略され方をされるか、もしくは、もう、この手の犯罪者はこういうものなんだ、というのも常識になっているかもしれない。
ところがこの作品は、今ひとたび、きっかけから、とまどい、そして、変身まで、犯罪者が生まれる過程をきちんと説明してくれる。きっかけは、幼稚な全能感が達成される条件を備えてしまったこと。とまどいは、実際にやってみたら、思ってたようにはならないこと。そして、その問題を解決するのではなく叩き潰すために怪物に変身する。
逆に、動機自体は「蝶の標本」に象徴されるだけで済まされる。「男の子ならば、この欲望、理解できるよね?」とでもいいたげな演出だ。
だって、好みの女性を文字通り「ハント」出来ちゃうなんて、男にとっては夢のような行為だ。夢をかなえられる条件が揃った場合、私だって、それを抑えられるかどうかはむずかしい。収集癖は男のが強いし。
なんて、こんなことをついつい思いながら見てしまう。怖い怖い。
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