[コメント] 宮本武蔵 -双剣に馳せる夢-(2009/日)
時代にそぐわぬ希望やトラウマ克服という非合理を、徹底して迂回的に合理性を追求することで達する「夢」の非合理性(合理性?)。自分でも何を書いているかちんぷんかんぶんで意味が通っているか全く自信がないが、とりあえずこれがとても切ないお話であることだけは伝えたい。
矛盾した過程の悲劇にシンパシーを寄せる姿勢は紛れもなく押井のそれであり、ラストには正味泣けた。確たる考証か出鱈目か分からん蘊蓄の煙幕が、虚構の歴史に悦ぶヒトの心象への憐憫と嘲笑を織り込んでもいる。特に「武士道」誕生の下りが秀逸。
押井の嬉々として語るテンポと要領の良さは、『立喰師列伝』を経て、それこそ浪曲、講談の域に達している。とってもおもしろい。
ベートーベンを初めとした古典楽曲の使い方も笑える。気合いが入っているのか入っていないのか、微妙に判断に苦しむ果たし合いパートも愉しい。
押井istには福音でも門外漢には拷問だろうが。
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