[コメント] HACHI 約束の犬(2008/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
犬がご主人様の死ぬ日に出かけないよう引き止める、という、犬はご主人様が死ぬとわかっているのだ、というシーンがあたりから二つの疑問を抱き始めた。
一つ目、犬がわかっているのは、ご主人様が死ぬってことだけで、死ぬ理由はわからないのか、ということ。 死ぬ理由がわかっているなら、あそこで引き止めても死因的に意味がないので、「なんとなく死ぬ」ということだけがわかったということなのだろう。 が、それはすごく中途半端なストーリーではないか。
せめて、事故で死ぬなら引き止めた意味もでてくるのに、あの死因では「まぁ、どっちにしろ死んでたんじゃない? 引き止めた意味はあんまりなかったよな」と感じてしまう。 死ぬときにご主人様と一緒にいたかったのでは、という解釈もできるが、だったら「秋田犬の高潔さ」みたいなエピソードと整合性が取れず、なおさら悪い。
二つ目は、犬はご主人様が死んだことを知っていて、あえて駅前へ行っているということ。 一般的には、死んだことがわからず、本能的な忠誠心から駅前で待っている、という解釈だと思うのだが、この映画では犬は完全に自分の意思を持っていて、自分がそうしたいと思うからそうしている、という解釈となっている。 これはただの好みの問題だと思うし、その新しい解釈がいいと思う人もいるだろう。
私は、この解釈は好きではない。
動物と人間が共存している設定の話で、「動物も人間のような意志を持っている」という解釈はどうしても受け付けられないのだ。 人間のような意志を持つことがそんなにえらいのか?と感じてしまう。 犬は犬としての行動原理があるわけで、それを認めることが犬と共存するってことじゃないのか。 犬の行動原理を人間の行動原理に当てはめれば、確かに人間側はほほえましく感じるが、人間の勝手な押し付けとしか思えない。
全体的には期待よりはよかった。
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