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[コメント] あの彼らの出会い(2006/伊=仏)

「レウコとの対話」から最後の5篇。全部が私服の対話でアクションは自然に委ねられ、神話詩集は飛翔しまくり究極感溢れる。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「人類」下り斜面に姉弟、こちらに背を向ける。神々の噂。弟が云う、人間は不死を憧れる。人間は、死を知らないミミズや枯葉より惨めな存在だ。姉が云う、世界は神聖でなくなった、神は自分の作った法を破る。人間でいることの運命を味わおう。ここはいつもの話。

「秘儀」男女の神々の人間の噂。彼等がつくる私たちの物語。彼等は私たちのために血を流す。殺し合うことで意味を与える。反った樹を両手で抱えて背を反らせる男、女は傍らの丸太。彼等に死の意味を教えよう、死を克服した、打ち勝った人間の話。すると神は大気、水に戻る。男は羨ましいぐらいだと応える。これはすごい思念である。

「洪水」神々、大きな岩を背に男女。水の音がひときわ大きい。明日は洪水、人は我々神を最後まで求める。全人類の消滅など信じまい、神が望んだとしても。神々は死だけは体験できない、してみたいものだ。希望か運命かふたつにひとつ。できるのは帰結の甘受。水音が続いている。

「ムーサたち」人間の男、ヘシオドス、帽子かぶった格好いい老人が座り、神の女が傍ら。ふたりの長い関係が回想され、不死の者の崇拝。モノを名付けると男が褒めると、鳥の羽ばたく音がフレーム外に響く。人間の存在は倦怠。不幸こそ人生。人間は血の沼から生まれた聖なるものと女が語る。

「神々」木陰の赤紫の大きな岩、狩人の男がふたり。もう神と出会うことはない、彼等の出会いだ、先人が見つけたもの。この断片は私には意味が取れなかった。ここでも神の不在が語られたのだろう。

(評価:★4)

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