[コメント] 九月に降る風(2008/台湾)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
17,8歳って他のみんなとは違うと主張したいんだが、うまく行動が伴わない。みんなのようにただ受験勉強をし、いい大学に行くのだけが当たり前だと思っている同級生に対し、何か僕はあなたたちと違うよ、というところを見せたい、言いたい、それを何かで示したい。そんなあなたたちのような青春は惨めなんだよ、と、、。
でも、実際の僕が彼らとどう違おうか、、。
その気持ちを少々突っ張って、徒党を組む人たちもいる。仲間だ。結束力があるようで、実ははかなく、それは崩れ去るのも早い。大人になる前はみんなそんなものだ。
この映画の7人の生徒たち。学年も違う。彼らはどんな時でもポケベル一つで集合する。集会がつまらないと思ったらそれを理由に集まる。普通の生徒とは違うんだよと無意識に伝えたい部分があるのだ。結束力は高い。だが、強くない人間たちが寄り添ってできる束というものは水が沁み込むとあっけなく弱くなり、すぐ折れてしまう。
彼らを撥ね返りのただの不良だと決めつけることは可能だ。確かに、みんなとの違いをうまく表現できない彼らはやっていることからも不良だ。いや、不良っぽいだけで、完成された大人たちから見るとヤンキーに思えるだけで、みんな明日が不安で何かにしがみついて生きている、大人になる前の人間なのである。それだけ純粋さは大人たちより強い。感受性もすこぶる強い。
もう云十年前のこんな切ない青春時代はとうに僕は忘れ去っていたと思っていたが、この映画を見て沸々と当時感じていたぼんやりとした不安感、猛烈にほとばしる感性、そして明日への期待感などが急激にこの老いた体によみがえってくる。
こういう時代を経て人間は大人になっていく。大人は決して思っていたような汚いものでもなく、けれどきれいなものでもない。それでも時間は過ぎ、歳月は経つのだ。そして今の俺がここにいる。人生という九月の風を今ここに感じながら、、。
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