[コメント] ジョン・バニーのポーカー中毒治療法(1912/米)
オブジェとしてのキャラクターでは映画は躍動しないBADサイレントコメディ
アンクル・ガマといった風情のオッサンキャラで当時の人気喜劇俳優であったジョン・バニーであるが、本作においても全くといっていいほどアクション性に乏しく、シチュエーションコメディといえどもさほどのアイデアともいえない前時代的な風采である為に映画以前の記録として数えられる一作である。おしむらくは、この当時、芸術といえばオペラやバレエなどの富裕層だけに許されたインテリジェンスが必須のプログラムであり、役者といえばヴォードヴィルに立つ名優、名花の華やかな振る舞いが主流であった時代に、ニッケルオデオンが掲げる第三の娯楽ともいえるべきファンタスティックな醍醐味を称えていたのが、このジョン・バニーやフローラ・フィンチの相貌であったということはなんとなく腑に落ちて倹しい。この時代の映画は、まだ監督や役者のものとはなりえず、スタジオの生産ラインを軸とした発生方式を敷いている点で、作品そのものを語るには尚早な様相である。そんな機運にあっても、ヴァイタグラフ社が重宝したジョン・バニーの雄姿は、映画の黎明期を愛でる意味で価値がある。
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