[コメント] あなたは私の婿になる(2009/米)
淀みない語り口は技術の賜物だが決定打に欠くSO-SOコメディ
ハイ・コンセプトともいえるトリッキーな設定ではあり、そうしたフィクショナルな世界観が前提にあったとしても、語り口は安定かつ流暢なので下手に逸脱するところはないのだが、どうも小さくまとまっているスケール感の乏しさで後半のエンドマークはたいしたカタルシスとはならないだろうと予想していたとおりの出来上がりとなって可もなく不可もなくといった作品であった。ジャンルもの「ロマンティックコメディ」の定番型といえる本作であるが、やはりコメディはありふれたユーモア程度で、どこかペーソスに色目を配した手管が厭らしくも匂う、そういう意味でもどこにでもありそうなジャンル映画となった。主人公二人にも、ドタバタ感を演ずるだけの豊かさに欠けキュートさが立ち現れない。これは設定の限界もあるが、ゆえにそのプロットワークで出来上がってしまった作品の調子が、キャラクターを丹念に仕上げてゆくという関係性の機微というものに無頓着となり、ハコ書き的で矮小化した作品として後味が悪い。教科書通りのシナリオエンジンに頼っているとこういうことになるという悪い見本である。しかし、これが全世界的に配給されそれなりに当たるというマーケティング映画の良い見本ともなるアンビバレンツ。つまるところは、マーケティング映画としての水準である。
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