[コメント] Disney’s クリスマス・キャロル(2009/米)
2009.11.20 TOHOシネマズ新居浜で鑑賞。「TOHOプレックス」から「TOHOシネマズ」に格上げされ、インターネット予約システムの vit が導入されて便利になったこの劇場だが、残念ながら「鷹の爪団」のマナームービーが流れていない。何故だ!
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「クリスマス・キャロル」のあらすじは『3人のゴースト』で知った程度なのだが、まあ、それでも十分な程単純明快な、キリスト教的に押しつけがましいヒューマニズムの物語である。キリスト教的に押しつけがましいとは言っても、人間の倫理観というのは仏教や儒教においても、さほどには変わらないものなので、話の骨格は受け入れやすい。(イスラム教徒に取ってどうなのかは想像も付かないが。)おそらく「クリスマス・キャロル」は、誰が映画化しても、それなりに見られる作品になるだろう。物語自体が面白いのだから。
ディズニーは、その映画制作においてかなり早い段階からCGという手法を取り入れてきた。1982年の『トロン』は、世界初のフルCG映画と言うことで注目を集めたし、その後も名作『トイ・ストーリー』を経て『ウォーリー』という CG と実写の垣根を越える作品を生み出している。
一方、ロバート・ゼメキスもまたCG技術にはひとかたならぬ興味があるらしく、『ポーラー・エキスプレス』『ベオウルフ』においては「気持ち悪い」と言う悪評が先行していた人間の表現技術を今作において大きく進歩させている。
両者の思惑がタイムリーに合致した様な今作ではあるが、結果はあまり上々とは言えないと感じる。
繰り返しになるが「クリスマス・キャロル」は、そのお話自体が面白いので、今作を見ていて、泣けるところでは十分泣けた。俳優たちからキャプチャーしたデータで作った動画は非常に良くできている。
でもCGやモーション・キャプチャーに関しては、あくまで「良くできている」とか、「『トイ・ストーリー』と比較して人物表現の技術的には進歩した」という程度の感想は持つものの、いまだ普遍的な表現手法になっていないことは誰が見ても明らかだ。それにそもそも技巧や技法だけでは感動を呼ぶことはできない。
いかにキャプチャーが進歩したとは言っても、所詮は有限要素のサンプリングによる再現であり、その目も粗く、技術的な部分の無理が目だって、ジム・キャリーやゲイリー・オールドマンを過剰に表現しすぎようとしてコテコテの厚化粧になっている雰囲気は否めない。
おそらく百年後の世界では省みられることの無い、過渡期的作品なのだろうなと言う感想を持った。
あと、松浦美奈の字幕は、セリフのおもしろさを十分活かし切れていない様に感じた。ジム・キャリーが出ているという時点で、全体的にもう少しアホらしい表現に振るべきだったのではないか?終盤、改心したスクルージが、道を行く子供に "My good fellow!"みたいな呼びかけをするシーンがあるのだが、ジム・キャリーの声音も相まって、おバカなムード溢れるこのセリフを「坊や!」の一言で片付けるのはあまりにも簡単すぎるのではないかと残念に思った。
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