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[コメント] パブリック・エネミーズ(2009/米)

わが愛しのジョニー・デップ! 麗しのクリスチャン・ベール! そして、何よりも実話に基づいたストーリー! 面白くないはずがない!!!
うさこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







そう、意気込んで映画館へ行った1月1日映画の日。お気に入りのキャラメルポップコーンを片手に、年初めの記念すべき作品となるはず・・・だった。

観終わった感想を一言。

「ぐっはー、めちゃツマンネ。」

何か!何か!見落としているはずだ!

あぁぁぁぁあああぁぁっぁぁあ、監督マイケル・マンやんか。(オチ)

アンタッチャブル』のような、ギャング映画でありながらお洒落でカッコいい仕上がりを期待していた。きっとデップならやってくれるはずと。 ところが、それは冒頭からその期待は裏切られた。 流血が飛び交い、看守を殴る蹴る。ちっともスマートじゃない荒業の脱獄シーンから始まる。ジョン・デリンジャーは、アメリカ人なら知る人ぞ知る有名なギャングなのだろうが、生粋の日本人たる私は、彼について全くの予備知識を持たない。

「いい奴なのか?」 「何をした人なんだ??」 そんな疑問を抱きつつ、取り残された感を味わいながらストーリーは続く。

脱獄した彼は銀行強盗をする。

「無血、早業、客の金には手を出さない。」 そうか!『俺たちに明日はない』のボニー&クライドのようなハッピーな銀行強盗なんだ!と思い直してみる。

私のお気に入り映画『俺たちに明日はない』では、陽気な銀行強盗が一つの失敗から破滅へと向かって行くのだが、銀行強盗シーンが楽しそうなので、いつしか強盗グループに感情移入していき、悲劇の蜂の巣シーンでは涙が出てくる名作だ。

ところが、この映画の銀行強盗シーンはちっともハッピーじゃない。 銀行強盗に成功するシーンが少ないのが一番の要因だろうが、変なところに史実に基づいているので、登場人物が多過ぎて仲間の一人一人が描ききれて居ないのだ。だから、仲間が死んでも「こんな人いたっけ?」程度にしか思えず、感動も出来ない。

警察側の現場リーダーであるクリスチャン・ベールにしても悲劇的だ。 強盗組織に対抗する警察組織の核は一人でいい。 ところが大御所スティーブン・ラングに気遣い過ぎてか、ベールのチームの一員であるラングにカッコいい台詞を取られてしまっているのだ。これでは、対極する相手としてインパクトがなさすぎる。 そのせいで、男と男の正義を掛けた戦いといった要素も描ききれていないのだ。

そして、前宣で強調していたのは、彼の恋物語だろう。 ひたすら「純愛」だったと言う。好きな女は守り通すのが美学だったという。 警官に殴られながらもデリンジャーを守るビリー・フレシェット役マリオン・コティヤールは良かった。が、彼女がデリンジャーを逃す代りに刑務所に入っている間、デリンジャーは別の女の元に身を寄せていたのだ。 いや、もしかしたら女友達という設定かもしれない。 そうかも知れないが、別の女性が出てくる時点で純愛的要素は薄れてしまう。史実、一緒に映画を見に行った女性に騙され、警官に包囲され射殺されているのだが、「純愛」をメインテーマにすべきじゃなかったのではないだろうか。

すべての要素につて「まぁまぁ」という評価しか出来ない。 うん。 やっぱりマイケル・マンだ。

(評価:★2)

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