人類絶滅の危機を一つの街の範囲で描ききったと言えなくもない。

それに虫たちの行動様式もシンプルながら「なるほどね」と思わせる特徴をしっかり持たせ、きちんとＳＦしているところが、なんとも喜ばせてくれる。

少ない登場人物もしっかりキャラ立ちしているし、それぞれの結末もちゃんとある。思わぬ恋の出会いとか、父と息子の対立と和解とかのドラマまで、えらく盛りだくさんの割にはすかっと９０分で話をまとめ、おまけに思わせぶりなラストまで、Ｂ級ＳＦパニック映画の黄金期を現代的に洗練させて甦らせた、といったらほめ過ぎかもしれないが。

しかしその道のファンにはものすごく嬉しがらせてもらえる一本であることは間違いない。