[コメント] 人里離れた屋敷(1909/米)
グリフィスお家芸の「最後の救出」がテンポよいカットバックで綴られたSO-SO作品
原作はアンドレ・ドゥ・ロルドの1幕劇『電話にて』というサスペンス戯曲であり、映画はフランスのサイレント映画作家リュシアン・ノンゲの『すさまじい恐怖』に影響を受けたと言われている。マック・セネットの脚色も映画をドラマとして構築しようとするなかなか腰の入った仕事ぶりで、出演者も当時のバイオグラフ社グリフィス組オールスターキャストといった面子で見ごたえがある。なかでもメアリー・ピックフォード、アデル・デガード、グラディス・イーガンの3人娘はグリフィスの少女趣味が開陳されていて、後のリリアン・ギッシュメロドラマにつながる嗜虐性が垣間見え、グリフィス先史においてひじょうに意義のある作品であった。またグリフィスのトレードマークとなる「最後の救出」、「虐げられる女性」というセンテンスの映画的興奮度は、やはり稀有な作家の証明である。カットバックという映画独自の技法を得て、カタルシスのパターン化を生み出した功績はやはり「映画の父」の面目躍如たる所以である。
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