[コメント] 悲惨な駆落ち(1908/米)
冒頭は白いドレスの女性が座っている部屋。男性が入ってきてイチャイチャするが、勿論、かなり大げさな所作だ。そこに女性の父親が来て、男性は激しく叱責され、追い出される。かくして、2人の駆け落ちが始動する。
続く2カット目は屋外から撮ったバルコニーのある家。こゝを舞台にし、駆け落ちしようとする男女2人と、偶然(?)居合わせた盗人の3人を、巧妙に画面の中に出入りさせるのだが、その際、ちょっと低い(中二階程度の高さの)バルコニーと梯子を使った高低感の創出や、鞄の中身をぶちまけるといったユーモアも盛り込み、さらに盗人がバルコニーの下のくぼみに隠れるという隠蔽のモチーフを繰り出している。
そして、警官に見つかるのを恐れた盗人が、宝箱のような大きな鞄の中に身を隠すという、さらなる(本格的な)隠蔽が重ねられて、プロットの焦点はシフトしてしまう。すなわち、男女2人の駆け落ちの行方よりも、鞄の中の盗人がさてどうなるのか、例えば、いつ暴露され、どういう扱いを受けるのかの方に関心が向いてしまう作りになっている。同時に、この鞄が手荒な扱いを受ける(落とされたり転がされたりする)演出は、スリルやコメディにも機能する。
当然ながら、最後には盗人が鞄から現れるワケだが、そのシチュエーションも、その後、この盗人がどう描かれるかについても、少なくも私が想像していたものとは全く異なる演出だ。ネタバレしたくないので詳らかには書きませんが、小さな驚きがいくつも詰まっているものでした。盗人が完全にコメディパートを全うする、とだけ書いておきましょう。最初に書いた通り、実に倫理的なエンディングだと思う。
#備忘
・警官は3人(2人?)出て来るが、道で大きな鞄を運ぶ警官がグリフィスか。
・ホテルで手紙(電報?)を持ってくるボーイはロバート・ハロンだ。
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