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[コメント] 栄光何するものぞ(1952/米)

戦争を強く否定しながらも戦争を避けることができない男達の哀感が描かれる。題材的には実にフォードらしい映画。キャグニーとダン・デイリーの関係性の大らかさもフォードらしい。ただしパースペクティブな奥行きに乏しい画面はフォードらしくないかも知れない。
ゑぎ

《上記コメントは、1980年2月にテレビ放映を見た際の感想です。2020年7月に再見したので下に追記します》

 前半の駐屯地の町の場面は、オープンセットだろうが、結構家並みの奥、道の奥といった縦の奥行が意識された画面がある。書割じゃない装置。それもあって、戦場、前線の場面は確かに小さなスタジオセットに感じらてしまう。曳光弾のショットとの繋ぎは上手いが。

 中国やフィリピンで女を取り合った、という話はキャグニーの科白の回想のみで出て来る。これがラオール・ウォルシュ版(1926年版)との構成上の大きな違いだ(ウォルシュ版の冒頭部分が割愛されている)。

 酒場の造型はやっぱり見事。ハリー・モーガンが「海兵隊マーチ」を弾き、ジョン・ペニックが何度もぶつかり邪魔をする。彼らはノンクレジット。でも、ずっと画面の片隅で映っている。脇役ではウィリアム・ディマレスト伍長のコメディパートが少ないのが惜しい。キャグニーを乗せたサイドカーの運転シーンぐらいしかない。また、ロバート・ワグナーマリサ・パヴァンとの恋愛描写も薄い。パヴァンの歌唱場面ぐらいしか見せ場がない。

 そして、ヒロインのコリンヌ・カルヴェだが、残念ながら、ドロレス・デル・リオほどの存在感はなし。と云っても、ダン・デイリーとの関係をもう少し丁寧に描く等をしないからだろう。だから、戦場で、キャグニーとデイリーが二人とも、カルヴェに回帰する納得性がない。ただし、エンディングの夜の酒場のローキーの中のシーンは見事な演出だと思う。

#終盤、酒場に英軍兵士の一団が客として入っている場面で、アイルランド人として『静かなる男』のIRAメンバーの顔が見られる。

#シャルメーヌのテーマ曲は、マントヴァーニの、あの有名な曲だったのか。

(評価:★3)

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