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[コメント] コララインとボタンの魔女(2009/米)

細部に宿る「萌え」がアニメーションのファンタジーを飛翔させてGOOD
junojuna

 『ナイト・メアー・ビフォア・クリスマス』のヘンリー・セリックによる精神世界系ダークファンタジーである。異界へと通じる穴というアリス的世界への親和性は、そのファンタジー的興趣を否が応にも盛り上げる周到な設定であった。本作は、グロテスクにしてチャーミングなキャラクター造形が、それはヘンリー・セリックの個性である内の、巧みな美術造形として完成され、そこに少女が主人公として闊達に動き回るところに、危うい魅力を放って実に誘惑的である。それは、描写される表象的なキャラクターのボディによるものではなく、そのダークなトーンに支配される画面、舞台設定から立ち上る禁断のアトモスフィアともいうべき果実である。確かにその作家性は、ダーク・ファンタジーの大家ティム・バートンとの親和性を伺えるものであり、その点において、稀有な映画人であることはいうまでもなく、そこに秘められたエロスが湛えられていることは、印象に深い作品として、一角の映画として記憶に残る強度を併せ持っている。「ダークガール」は、「戦う少女」の宮崎駿が生み出すキャラクターと匹敵する「萌え」の造形だ。もっと作家性を語られてよい完成された世界観である。

(評価:★4)

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