[コメント] ピンナップ・ガール(1944/米)
ラストの軍楽ダンスは驚異的だ。一糸乱れぬ統制された振り付けがすごいのではなく(それもすごいが)、ナイトクラブの一画に80人の女性達が縦横に動き回れる広々とした空間が突如出現する映画演出の荒唐無稽さと、本来セパレートな空間を自在に接続させる編集の魔術性に魅了されたのだ。
もう一つささやかな発見を楽しんだ。ベティ・グレイブルの、歌っているときにくるくるとよく動く瞳(たいへんに可愛い)を観ていて気づいたのは、その視線がいわゆるキャメラ目線になることが決してないということ。歌手ベティ・グレイブルとして歌を歌うのならキャメラ目線は許される。しかし、ベティ・グレイブルは自分自身としてでなくあくまで主人公として歌っている。そのことがその瞳の方向でよくわかる。歌手である事と俳優であることが不用意に混じりあわないその節度に1944年製らしい古典性を感じてうれしくなってしまった。
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