[コメント] 博徒解散式(1968/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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昭和39年に国会は暴力団絶滅方針確認、41年港湾労働法(港湾労働者の雇用の改善等の法律)施行で岩崎海運の組関係者逮捕、岩崎組企業幹部は組との絶縁を確認、と字幕の連続で始まる(このパターンが多い)。このときの富田の劇伴がアグレッシブで無茶苦茶格好いい。
解散を迫る岡田英次の刑事に対して、岩崎組親分の河津清三郎は事務所に飾られた警察からの感謝状群を杖で示す。「解散したら血の気の多い連中のその後の生活は補償してくれるのかね」「取り締まりは強化しますよ」。パーティでも寄ってきて違法だと云い募る岡田に業を煮やして河津曰く「ここが発展を遂げたのは、俺がアカの組合を潰してよ、赤旗なんぞ一本だって立てさせやしなかったからなんだ」「だからと云って人夫の面倒見なかった訳じゃねえ。仕事にアブれた奴等のために補償金の制度を作って」。こういう理屈は『日本侠客伝』から『県警対組織暴力』まで一貫しているものだ。
時流に乗る奴渡辺文雄は沖仲仕を裏で操って岩崎組を潰そうと企む、いつもの任侠映画の展開。死んだ室田日出男の遺体ほったらかしで展開する岩崎組(含関敬六)VS沖仲仕の乱闘。そして沖仲仕は組事務所を襲うが、ヘルメット、角棒に投石とは全共闘のまんまであった。後ろにいる沖仲仕を煽って前に押し出す小松方正に凄味がある。しかし、港湾労働法で沖仲仕がどうなったのか、その辺の深掘りはなく類型的な印象。沖仲仕たちのこの暴動は過重労働に起因するのだが、港湾労働法は彼等を守らないのだろうか、とか。
鶴田浩二はこれが最後と賭場を開くが誰も来ず、ただ警察に上げられる。「世の中の変わりように馴染めない」と万里昌代振ってヤク中の丹波哲郎との対決は丹波が自殺、鶴田は渡辺と対決して刺し違える。渡辺が立ち上がって、奴が勝ったのか、と思いきや倒れる、という演出は頻発する。
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