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[コメント] 17歳の肖像(2009/英)

主人公の女の人生に対する憤りのピーク(対教師&父母)とは残念。タイトル通りの映画なら
のこのこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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教育は「無教養で社会に投げ込まれた女の人生の無力さ」から救い出してくれるパスポートのようなものだと、この映画はいうべきだ。

なのに何を勘違いしたのか? 60年代初頭のイギリスの地方都市をことさら絵はがきのように映して、確かに演技力はあるだろうがちょいブス顔のキャリー・マリガンをことさら特別なかわいい娘扱いとはこの女性監督は題材と主張が不協和音出しているって分かんないのかね? 

予告編でパリにたたずむヒロインがどう見ても怪しいおっさんと一緒にいたが、あのパリ行きというのが彼女にもたらしたものは何だったのか? 女の武器でオッサンの金転がして贅沢っていいわね、という安直な結論でしかないし、それを緩い肯定で話を終わらせてどうするんだ? 

今の彼には昔の男の話とパリは内緒なのー!!! ←こう締めくくった瞬間、このボーイフレンドatオックスフォードは実話が元なら捨てられている彼氏ということになるじゃんかよ。 保険かけて映画化してこっちは不愉快だわ。 

ちゃんとさ、ボトムラインである「教育」ってなんだろう?に落とし前をつけろ! ブスな顔だしていいから原作の本人が最後には画面に出るべきだし、作家になりました、フェミニストの本を出版しました!でいいじゃないか。

で、許せないのが母親二人の扱いである。 鍋の底の取れない汚れを擦ることでしか人生をやっていけないヒロインの母親と、ヒロインを捨てた男の本妻(彼の浮気癖を承知している)の二人の哀れなこと。 この二人は階級社会イギリスでは夫に尽くして家庭にいるしかない旧来の女性なのに、ヒロインはこの身近な二人から「教育」はどうして必要なのか?分からないのか?と画面に向かって説教したくなったね。

グラマースクールでラテン語学べるなんてエリート養成しているわけで、そんなこと本当は主人公は知っていたはずである。 日本語のタイトルはこの際だから無視するが、教育は彼女を二人の哀れな母親のようにはさせないためにあるはずなのだから、それをちゃんと伝えて欲しいね。 

先生に啖呵斬ったんだから、それに見合うシーンも欲しい。 彼女の力強さが表現されたシーンはあのワンシーンしかない。 男に対しても怒るだけで無力さだけで、この映画は絵はがきみたいなお洒落映画にとどまってしまっている。 

あと、キャリー・マリガンは間違ってもオードリー・ヘップバーンの再来なんかじゃない、って言っておこう。 おばさん顔なんだな、彼女は。

(評価:★1)

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