[コメント] クロッシング(2008/韓国)
映画を見終った人むけのレビューです。
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で、この映画の製作国は僕は分らないで見てしまいました。何回行っても満席でやっと見られた映画なので、北朝鮮の映画かなあとも思っていたのです。でも、登場人物で、いつもの韓国映画俳優が出てきて、やはりそうかと頷いたわけです。(この辺りは僕の完全な勉強不足。)
韓国側で製作される意図というのももちろん気になります。かなり勇気のいる内容ともなっています。例えば強制収容所のシーンなんかは、立錐の余地がないほど狭く非人間的です。いくら脱出組だとはいえ、同国人なのです。ナチスドイツのユダヤ排斥とは次元が違うと思う。
また、中国経由外国大使館経由モンゴル経由韓国へというルートにも驚かされます。いい加減なルート案内人に惑わされ悲劇も起こってしまう、また別のこの世の地獄。
事実を並べるだけで驚愕的なこの映画では映画的な技術は言及しない方がいいのかもしれませんが、これだけの素材でありながら、何かぴしっと決められていない演出も少々気になった。だが、モンゴルでのあの息子の彷徨の哀しみ、怖さ、つらさ、孤独を描きつつ、今までの良き頃の夢を見るシーン。子供とはいえ、一個の人間として人生に対峙しなければならない現実を映像化する。秀逸。
そして映像は反転して思いがけない悲劇へと。この簡潔な時間の流れにこの監督の政治的、人生的メッセージを垣間見た気がしました。ここで流涙しない人はいないでしょう。今までのエピソードを突き抜けた秀逸なシーンです。ああ、普通の家族の、普通の生活、普通の生きたいという最低限の気持ちでさえ国家が奪っているその現状、現実、。
平日でありながら、館内は満席です。老若男女さまざまです。映画の持つ力は強いです。見ただけではだめ、という何かのメッセージをこの映画は持っています。
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