[コメント] クロッシング(2008/韓国)
良作であるだけに、若干ある解れがかなり気になる。本作に関してはキャラクターの「処理」はもっと丁寧にやるべきだと思う。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
北朝鮮にある脱北者の収容所を描くということは相当な挑戦であり、本作はそのことだけでも十分評価に値すると思う。主人公一家がそれぞれたどる結末には悲しさしか残らない。幸せな生活を送ること自体が夢物語であるという現実には、やはり慄然とせざるを得ない。
総じて良作だが、気になる点もある。それはミソン(チュ・ダヨン)の「処理」である。ジュニ(シン・ミョンチョル)のある処置の結果として彼女は死に至るのだが、そうする必然性が見えない。処置の結果が提示されるシーンの気味悪さや、自転車のシーンの物悲しさは確かにポイントとすべきものであることは分かるのだが、かといってその後、この経験がジュニの糧になっているのかと言うと特にそういったこともなく、さらっと終わってしまう。ただ単にミソンを消すためだけのエピソードになっているように思う。あと、ジュニが脱北をしてから合流する人の中にいる子供を亡くした女性もある展開のためだけのキャラにしか見えない。こういうものを総じて「ご都合主義」と言うのだが、ご都合主義と判断できる箇所が出てくるのは若干残念であった。
それでも、見ておくべき作品であることは間違いない。韓国のスタッフの真剣勝負をしっかりと受け止めて、この先どうあるのがよいのか考えるべきである。
(2010.05.23 シネマジャックアンドベティ)
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。