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[コメント] 矢島美容室 THE MOVIE 夢をつかまネバダ(2010/日)

業界的なれ合い構図がべったりと見える作品。何がしたいのか、どういう映画が作りたいのか最後まで分からない作りに辟易した。
サイモン64

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







2010.4.29 梅田ピカデリーにて鑑賞。

〜〜〜

とんねるず、ダウンタウンと言えば、共通するのはスタッフいじめだ。明らかに立場が弱くて逆らえないスタッフに無理難題を押し付けて、自分は安全な場所から高みの見物を決め込むその態度がどうにもいけすかない。

それでもダウンタウンは「リンカーン」や「ガキの使い」で、自分の体を張った笑いを見せているのだが、対するとんねるずは自分の手を汚さないその雰囲気がどうにも好きになれない。保田圭はボロカスに扱うが、高橋英樹の娘とはうれしそうにモジモジ君やってたりする所も男らしくないと感じる。だから、とんねるずのからんでいる番組は、できるだけ見ずに過ごしてきた。矢島美容室も、ちらちらとテレビで散見していたものの、業界的なれ合いの雰囲気がベッタリとにじんだムードが好きになれず、意図的に無視していた。なので、とんねるずのメンバー以外の女性が実は DJ OZMA であることに気づいたのも、鑑賞のほんの数日前だったのである。

映画のオープニングは、『ヘアスプレー』さながらの、王道的なミュージカルである。

ただ、その後が続かない。家族構成は母親が木梨、長女の17才がDJ OZMA、次女の11才が石橋貴明となっていて、この家族が営む矢島美容室から、突如お父さんが失踪するところから物語が始まり、石橋貴明率いるソフトボールチームが黒木メイサのせいで存亡の危機にさらされ、DJ OZMA が出場する街のビューティーコンテストも黒木メイサの一族のせいで出来レースになっているという塩梅である。最終的にはその一連のすったもんだがテレビ放映されて、それを嗅ぎつけた日本の大物タレントが矢島美容室の日本デビューに買って出るという成り行きである。

この映画を最後まで見ると、矢島美容室というものの成り立ちや、歌の歌詞の意味もよくわかるのだが、だからってそれ以上の何か知的な発見があるわけでもなく、ダラダラと眠たい豪華な学芸会が展開されるのみである。まさに「みなさんのおかげです」のコントを高価に作った程度の出来上がりで、発表媒体が映画である必然性を全く感じない。

コントのネタも、あまりに古くさすぎて、15年前ならかろうじて笑えていたものが、もはや「おもしろくないハラスメント」のレベルまで昇華されており、ぴくりとも笑えなかった。

とんねるずとかDJ OZMAだとか言った、「業界での身の処し方を心得た人たちが織りなす、お手盛りのうだうだ」と言った感じで、映画の最後の最後でフジテレビの石田とかいう人が登場するにいたって、まさに楽屋落ちの極致である。まあ、とんねるずという存在そのものが楽屋落ちの集大成的なものがあるのだが、それがより強調されたヒトシナではあった。

最初から最後まで、この映画をお笑いにしたいのかお涙頂戴にしたいのか、真意が全く測りかねる映画であった。

ただ、一番最後にかかる「アイドルみたいに歌わせて」という、モータウンリズムに載せたポップナンバーは、松田聖子の華やかな声に助けられて、大変楽しい歌になっているのが唯一の救いだ。

(評価:★1)

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