[コメント] セックス・アンド・ザ・シティ2(2010/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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四人は愉しげにはしゃいでいたが、観ているこちらは、このアブダビがいつまで続くのかと時計が気になってしまう。キャリーの新刊本への批評が載ったニューヨーカーが届き、彼女が酷評に気落ちするシーンが出てきたときには、ようやくニューヨークでの生活感が少し戻ってきたと、喜んでしまったくらいだ。
サマンサが友人三人に勧めて拒まれた美容本を、ブルカ姿の女性たちが密かな読書会に用意しているシーンは、アメリカに移住した女性英文学者が書いた『テヘランでロリータを読む』にアイデアを得たのかもしれない。ブルカを着る女性たちは、女としてのせめてものアピールとして、足に鈴をつけることもあると聞いたことがあるが、本作では、四人がブルカで変装した際、シャーロットが行方不明になり、靴のオシャレが彼女を見分ける助けになるという形で、ブルカの下での女の意志を表現してくれていたのだと思う。尤も正直、あの辺のシークェンスは、非常時にも拘らず子供へのお土産に固執して、無断で迂闊な行動を重ねるシャーロットへの苛立ちの方が上回ってしまうのだが。
そうした苛々感も一応は手伝って、アブダビからの脱出劇はなかなかサスペンスフルで見応えがあったのだが、やはりアブダビが長すぎる。帰国後のシーンは駆け足すぎ、特にシャーロットの雇ったベビーシッターがレズビアンで、夫との浮気を疑ったのが杞憂だったと判明するという処理は、安易にすぎる。前回と違ってシャーロットにちゃんとドラマが用意されていたのはよかったのだが(キャリーとのちょっとした喧嘩や、ミランダとのぶっちゃけ話等)、結局半端な印象。ドラマを描きえた時間を大量に食った、アブダビの長さが悔やまれる。
ベビーシッターの巨乳を指摘されたシャーロットが疑惑に悩み始めた後、育児のカオス状態に泣いているところへベビーシッターがやって来て救われ、そこにキャリーの一言コメントがナレーションで加えられるシーンは、何気ない日常の一瞬に人生訓を加えるエスプリ感覚が冴え、これこそSATC。また、男と会う前の下準備として風呂に浸かっているサマンサの許へキャリーが慌てふためいて現れ、「エイダンとキスした!」と告げるシーン。普段のサマンサからすれば「いいじゃないキスくらい」云々と言いそうなところだが、キャリーにとっては一大事なのだと了解して、即行風呂から上がろうとするサマンサ。この、性格が異なりながらも、相手の性格を理解した上で行動するという、絶妙の呼吸こそSATC。アブダビで浮かれるシーンより、そうしたSATCらしさをもっと盛り込んでほしい。
ただ、9.11のことを思えば、ニューヨークから飛び出して、アラブの国を冒険するというのは、ニューヨークと一身同体であるこのシリーズにとって、それなりの意志があってのことだったのかもしれない。単純に、アブダビの夢のようなリッチさを満喫するだけのシーンは退屈になってくるが、ニューヨークの女としての一種の闘争の様相を呈し始めると、やはりそれなりに骨のある作品なのだと感じる。
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