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[コメント] ペーパー・チェイス(1973/米)

エリートと呼ばれる人間の“リアルな”学生生活。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 映画における大学の扱いというのは結構酷いものがあり、本来学舎であるはずの大学が、遊びの場になってしまうことが多い。『アニマル・ハウス』なんかはその最たる例だろうが、真面目な学生生活を描いても映画としては大して面白くないというのがその理由なのだろう。日本の場合は大概はもっと酷く、どう見ても「お前学生じゃないだろ!」というレベルのおっさん達が馬鹿騒ぎをする作品ばかりになってた(最近は随分変わってきたけど)。

 しかし本作は敢えてその困難に挑み、“エリート”とされる学生による真面目でリアルな学生生活を作り上げた好作。特に1970年代の学校崩壊の中、これだけ地に足の着いた作品が作られたと言うだけでも充分快挙。

 しかし、これを観ていると、私自身が大学で一体何をやってたのか?とも思わせられるところがあって、結構心が痛い。それこそ私の大学時代なんて鬱の真っ最中でもあって、碌でもない思い出しか残ってないものなあ。勉強もうちょっと頑張って、友人のナンパにもつきあっていれば良かった…武勇伝を聞かされて羨ましく思いつつ、自分ではなんにもしなかったしなあ…どこで道間違えたんだろ?(笑)

 ただ本作の最大の売りはそう言う学園生活よりも冷徹な教授役のハウスマンの見事な演技の方だろう。常にしかめっ面して、人の顔など決して覚えようとしない。そんなお堅い性格が最後まで変わらないのに、その崩れない性格がだんだんと面白くなっていく。

 ちなみにジョン=ハウズマンは当時最高齢の71才のオスカー受賞。この後、1979年から86年までの長期にわたってテレビドラマ化したが、この際もハウズマンが同じ役を演じている。

(評価:★4)

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