[コメント] グッドモーニング・プレジデント(2009/韓国)
映画を見終った人むけのレビューです。
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何より映画に対するセンスが抜群に優れているのだと思う。
この作品も3代の大統領をオムニバス的に描いたものだが、視点が大国的な大きさを有しており、まるで西洋の国の大統領を描写しているように優雅で余裕がある。こういうものを日本で作ると嘘っぽく、リアルさから離れて行くんだろうけれど、監督の力量なのか、観客を夢の世界に乗せてしまうテクが憎いほどだ。
まず1話。最初の大統領は庶民の夢である宝くじを的中させてしまう騒動を描いている。これは完全コメディに徹しており笑わせる。すぐ忘れそうな、韓国ではどこにでもいるような普通の容貌の俳優を起用し、成功している。
次の大統領は服飾雑誌から出てきたようなハンサム大統領の話で、若さと勇気を備え持っているいわば理想の大統領である。その大統領がテロまがいの依頼でドナー提供をするというあっと驚く話である。まあ、大統領がそんなことやっていると、、、という現実問題はさておいて映画的には面白い展開である。チャン・ドンゴン、こういうマットー過ぎる役柄は凛々しく女性ファンが多いのもうなずける。
何故か理想の大統領も代が変わり、次は何と女性大統領の話。大統領であるが、母親でもあり、勿論妻でもある。そんな家庭劇のような話を大統領に見据えて3話はとても秀逸。優秀すぎる妻を持った夫とのあるべき夫婦論がしっかりと展開されている。ラストの護衛車何台も連なっての道路の先の二人だけの社交ダンスは優雅で、まさに立派でこの映画の風格さえ出ていた。
そのすべての話の共通項であり、心のオアシスともなる大統領キッチンでのさまざまな描写、本当にうまいです。センスがあるから、描写も優雅になる。チャン・ジンの能力の高さに納得してしまう。
2話で日本の自衛隊の防衛問題が急に出現したり、韓国の日本に対する本音がストレートにセリフに現れたりするが、韓国国民を意識するとああいう表現になるのだろう。多少気にはなったが、深読みしないで全体を見ていると、この映画、一級の娯楽作品として受け止めることができる。拾いものの映画である。
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