コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ガンファイターの最後(1969/米)

ロバート・トッテンについては何も知らないが、至るところにドン・シーゲルの作家的な徴が認められるのは確かであり、これをもっぱらシーゲルの作品として扱いたくなるのも無理はないと思わせる。「西部開拓時代の終焉」の映画として共時的な、「保安官の孤立」の映画として通時的な作品群の形成に与る。
3819695

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







六〇年代末のユニバーサル西部劇。当然潤沢な予算などなかったのだろう、屋外のシーンはセットの肌理が粗く見劣りする一方で(川辺のロケーション撮影はよい)、屋内夜間シーンの照明は凄い。まるで『ダーティハリー』じゃないか。スタントマンを酷使して高所からの人体落下をワンカットで撮ることにこだわったり、リチャード・ウィドマークが少年を殺害する際のスライディング銃撃だったり、アクション演出もとても冴えている。シーゲル自身が撮影したことを公言しているのはオープニングとエンディングだけだそうだが、以上のシーンなどもシーゲルの手による仕事だと思える。あるいはこれらがトッテンの演出だとすれば、彼もまたきわめて優秀な演出家であると云うほかない。

スローモーションのラストカットにはウェス・アンダーソンのような情感がこもっている。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。