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[コメント] 彼とわたしの漂流日記(2009/韓国)

現代版ロビンソンクルーソーの話である。そこは大都会に流れる川の中州。そこからは観光船や高層マンションの灯も見える。そして漂流した若者を望遠カメラで見つめている引きこもり女性。とても面白い設定である。当然、文明とは何かまで考えてしまう。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







一度は自殺を考えた男と高層マンションの一室でゴミタメの生活をしているうら若き女性。場所は違えど、同じ環境、同じ心。浮かび上がれない二人。しかし、文字という手段で彼らは交流を深めていく。男の方は当然女の顔も分からない。けれど今では食住も安定し(超原始的な生活だが)、心を求めるようになる。人とのつながりが欲しくなってくる。

女は男の立ち直りに距離感を感じ思い悩む。しかし、、、と、映画では、休戦中という現実を忘れさせない訓練が思いがけないプレゼントを二人に与えてくれる。

文明も、生活も、文化も、もちろんお金も何もない最低限での生き方でも、心を共有できる人さえいれば人間は生きていける。文明に浸りこんでいる吾輩でありますが、この作品のシンプルなテーマにとても感銘いたしました。この映画は決して夢想的なものではありません。現実の小さなものが人の生き方を大きく変えさせてくれるのです。強い映画です。秀作です。

(評価:★4)

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