[コメント] [リミット](2010/スペイン)
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私が知っている限り、もっとも狭い空間で物語が展開したのは、リンクレーター監督の『テープ』(2001)で、最初から最後までホテルの一室だけで話が展開し、登場人物も3人だけ。というもの。あるいは変則的だがヒッチコック監督の『救命艇』(1944)も相当に狭い空間だけのシチュエーションを作ることに成功している。
だが、本作の狭さは群を抜いている。なんせ棺桶の中だけだから。そしてそのワンシチュエーションを活かすことができたのは、監督の腕もあるが、今は携帯電話というありがたいアイテムが存在するから。これをうまく物語に使ったのが大きい。
携帯電話は今や会話とメールだけの存在ではなく、ネット検索したり、動画を撮ったり映したりと言った機能もあり、それらをフルに駆使することによって、たった一人しかいない空間を、多人数との関わりの中で描くことができるようになった。 考えてみると、携帯一つあれば、その人物の過去や、現在置かれている状況、そして自分がなさねばならないこと、すべてを描くことが可能だ。これだけ効果的に携帯電話を使うことができたのが本作の成功点であろう。その点は本当に感心したし、これこそ携帯を使ったドラマの可能性をきちっと示唆した作品だろう。
実際最後まで全く飽きずに観ることができたが、後半になると、別な意味で期待感が膨らんできた。
せっかくのワンシチュエーションを、最後まで持って行くのか、それとも一瞬でも広い空間を使って台無しにするのか?その一点だけでもわくわくしながらできたし、上手いサスペンスにも仕上げられていた。
オチの部分はここでは書かないけど、一言「上手い」とは言っておこう。どこかで観たシチュエーションも多いけど、それらを効率よく取り入れたおかげで、最後までわくわくは続いてくれたし。
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