[コメント] 冬の小鳥(2009/韓国=仏)
子供像が、大人に都合よく理想化されているような不愉快さを感じるが、「まあ、可哀想に」と思い致す程度にはちょうどいいかも。
詩人が言葉の断片を操る中で、予想外の情感を生みだすことがあるように、織りなす映像が不思議な情感を醸し出す、詩情あふれる作品ではあった。
だがこういう題材の場合に重要なのは、きちんと綿密に取材が施されているかどうか、現実に起きていることに基づいているかどうか、だと思う(※)。外国の映画なので、こんなことはあり得んと一概に言い切れないのがもどかしいが、少なくとも一つ気になったことがある。この施設は、里親を探すとか、引き取り手を見つけてもらうということが目的のようで、例え受け入れ先がみつからなくても、自立して生きていけるようにする、ということは行われていないようだ。
(※これは監督の実体験に基づくのだ、と言われたところで、何の意味もない。そんなのは映画の宣伝に決まっている。映画の中で描かれないかぎり、宣伝と考えて差し支えない。映画の中で描かれていないからこそ、不足を補うために宣伝しているのだ。)
この映画には、外国の人間が見て、なるほどこの国は自分の国と文化は違うけど、こういうことが起こり得るのだなと、思わせるような手掛かりが何もない。確実に言えるのは、それは映画として稚拙だということだ。時代背景は変わるので、同じ国内であっても何十年もたてば理解されなくなると思う。映画は、そういうことを後世に伝える格好の媒体なのだが。
そういう意味で、高らかに褒めそやすほどの出来の作品ではないと思う。
70/100(11/05/18記)
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