[コメント] キック・アス(2010/英=米)
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「オモシロいオモシロい」という噂ばかり耳にしつつ、「そんなバカな」と思ってベッドに横たわりながら見てたら、途中から爆笑して起き上がり、最後は身を乗り出して見ていたという・・・。
本当、すいませんでした! こんな最高な映画、そうないだろ! って素直に感服しました。
ヒーロー映画として設定は意表をついてるけど、すごくまっとうな王道エンターテイメントでもある。これだけ残虐なシーンが登場するのに、気にせず笑って楽しめちゃうバランス感覚という意味で、『キル・ビル』の前編に似た要素も感じた。
少し堅苦しいヒーロー映画としての分析をすれば、2000年代に多発されたヒーロー映画にひとつのピリオドを打つ作品にも思える。その一連のヒーロー映画の代表として言及される『スパイダーマン』以降、日常生活で悩んだ主人公が大いなる力を手にして、その上でさらに悩みながらも悪と対峙するという路線が定着したが、その悩みを完全に逆手に取った映画がこの『キック・アス』。2000年代ヒーロー映画のシリアス路線での行き着く先が『スーパーマン・リターンズ』や『ダークナイト』だとしたら、コメディ路線での行き着く先が『キック・アス』なのだろう。ここまで来ると、これ以上ヒーロー映画を観られない気すらしてしまう。
とはいえ、コメディ映画だとは思いつつ、キャラクターのインパクトがお見事としか言えません。
主人公のキック・アスより、何よりヒット・ガールが素晴らしすぎて感動すら覚えた。幼い少女がCワードを口にしながらガタイのいい悪党を滅多斬りにする様と言ったら、どう言葉に表していいものやら・・・。劇中にあった「彼女が成長するまで童貞守る!」という台詞に不覚にも共感してしまいました(笑)
そのヒット・ガールとビッグ・ダディの関係性がドラマチックで、その関係性があったからこそクライマックスの「Motheeeerr F**keeeerrrr!!!!!」と叫びながらキック・アスが空中舞って銃弾打ち込む場面が生きるわけです。実はビッグ・ダディがキック・アスを買っていて、あんな秘密兵器作っていたというね・・・。そのシーンの直前に台詞としてが話が出てくることもあって、どれだけ『スカーフェイス』をバカにしてるんだよ、とも思いました。
また、MySpaceにメールが来たり、YouTubeで映像が広がるヒーローというのも本当現代的でユニークだなとも思った。コミックにしろ、テレビにしろ、インターネットにしろ、情報は拡散していってこそ浸透するものだから、それだけソーシャルメディアが発達した時代になってくると、スーパーヒーローすらソーシャル化されるんだなという視点も興味深いと感じました。
ただ、そんな理屈を抜きにして、とにかく面白いのがこの『キック・アス』。Blu-Ray買ったので、自宅に誰かが遊びに来たら絶対に見せてやりたいです!
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